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ロワール河流域 (2009)

良いヴィンテージながら選別が有用な繊細なヴィンテージでもあります。2009年のロワール地方は他のフランスの地方同様に暖かく潜在アルコール度数を高めましたが引き換えに酸が低くなったヴィンテージです。 ワインは一般的に豊満で味わい深いものになりましたが、酸が不足気味です。この年最も成功したのは辛口の白、とりわけナント地区は最上のワインが出来上がっています。

アンジュー・ソミュール地区とトゥーレーヌ地区から2009年のロワール地方の気候の大筋を見ていきます。2008年の秋は季節の累計降水量が160mmにも満たなかった事から乾燥しており、冬も1月には気温が氷点下を記録する等、寒く、雨も滅多に降らない乾燥した季節でした。

幸いな事に5月になると一般的な春同様、雨に恵まれブドウの生育に良い環境になります。しかしこの時期に降った雨だけでは今後の暖かい時期の水分ストレスを解消することは出来ませんでした。実際、ブドウ畑は特に8月、9月は苦しめられます。 この暑さからブドウの果皮は厚くなり、成熟は若干遅れました。いくつかのアペラシオンでは酸が低いブドウになりましたが、他のアペラシオンでは反対に高い品質のブドウが出来ています。 アンジューのシュナン・ブランは成熟が遅くなりましたが、ソミュールのカベルネ・フランは奥行き、高い持続性のあるワインになりました。ヴーヴレはとりわけ甘口ワインで大きな成功を収めていますが、酸が不足気味であることには注意しなければなりません。

ナント地区はおそらくこのヴィンテージにおける最大のサプライズでしょう。ミュスカデは素晴らしく、このような高い純度を持ったものが出来る事は滅多にありません。2008年の秋は日照量と降水量のバランスが良く、春も650時間を超える豊富な日照量に恵まれます。 霜も下りますが5月末に始まったブドウの結実を抑止するには至りません。それとは反対に7月には降水量が多かった事から病害が観測され、生産者たちは最悪の事態を想定しましたが、幸いな事に8月は260時間を超す日照時間など素晴らしい気候に変わります。 ブドウは完璧な成熟を迎え、驚く程バランスのとれたボリューム感のあるものになり、生産者達は多くの長期熟成向けキュヴェを造りました。

中央フランス地区でも素晴らしい成功を収めています。気候条件は他のロワールの地区と同様であったと言えます。冬は寒く乾燥しており、そのためここでもブドウは水分ストレスに悩まされました。 5月には降水量が回復しましたが、雹混じりの嵐が発生した事からいくつかの区画では損害も記録されています。またメヌトゥ・サロン、コトー・ジェノワと一部のサンセール、プイィ・フュイッセではベト病の被害も受けましたが最終的には生産者たちによって被害は収まります。 8、9月と理想的な環境になった事からブドウは無事成熟を迎え、カンシー、ルイィー、プイィ・フュメでは9月中旬から、他の地域では20日から収穫が行われました。

[参照元: www.vin-vigne.com]